霊枢「九鍼十二原篇」

毫鍼による治療の要点は、技術習得はかなり困難である。
技術が未熟な医家は、ただ形にのみとらわれる
高度な技術の医家は、神気の盛衰に基づいて補瀉の手法を使うことができます。
邪気が経穴から人体に侵入しようとしているのに、医家が詳しく病状をみないで、どうして病変の発生する原因がわかるでしょうか?
技術が未熟な医家は特定の経穴を頑なに守って治療するだけですが、高度な医家は虚実を洞察します。
邪が盛んなれば補法を用いてはいけない
正気が衰えているところに瀉法を用いてはいけない
気の去来の時期をしってはじめて刺鍼時間を理解できます
往くものを逆とし、来るものを順とする
この道理をよくわきまえているものはすべて正しく行うので一言もいうことはない
補瀉迎随の意を充分に理解すれば鍼の道はすべて終わる

正気が虚していれば補法=ゆっくり刺入して素早く抜いて蓋をする
邪気が客しているのなら瀉法=素早く刺入してゆっくり抜き蓋をしない
気血がうっ滞していれば流す方法
鍼の下に気があるのが実、気がないのが虚だが、もともと形がなく有と無の間にあるもの

補法の細かな方法は、ゆっくりと散漫な様子でそっと刺す、鍼をめぐらせて気を導き、経穴を按じて鍼を刺すとき、あたかも蚊が皮膚の上を刺しているようなないような感覚があり、鍼を抜き去るのは速く、矢が弦から放たれたかのように、右手で鍼を抜き、左手で鍼孔を按ずれば、経気は留まり、外に発散せず、中は充実する
もし皮下出血すれば時を移さず除去しなければいけない、その場合は鍼を堅くもって経穴にねらいを定め真っ直ぐに刺し左右に偏ってはいけない
病人の神気の様子をみることが大切

九鍼
1,鑱鍼=浅刺して体表の邪熱を瀉す
2,円鍼=分肉の間の疾病を治癒
3,鍉鍼=経脈を按摩し、気血を流通(皮膚を凹ましてはいけない)
4,蜂鍼=頑固な病に使う
5,皮鍼=潰瘍を潰し膿を出す
6,員利鍼=急性の病に使う
7,毫鍼=気を調整、痛痺を治療
8,長鍼=日を経った痺を治療
9,大鍼=関節に溜まった水を瀉す


風熱の邪は多く上体を害ない
食物の停滞は人体の中部に留まり
清冷寒湿の邪気は多くは下部を害ないます
上部の治療は経脈の急所を刺せば風熱の邪を外に出す
陽明の合穴を刺せば胃腸内部の積滞を除くことができます
鍼を刺すとき経気の到来を候わなくてはいけない、気が至らないのであれば至るまで待っていることが必要で、施術回数に拘らなくてよいです。
気が来たのなら、鍼をすぐ抜くべきで、治療を継続してはいけません。

五臓の経脈には、井・栄・兪・経・合の5つあり合計25ある
六腑の経脈には、井・栄・兪・原・経・合の6つの兪穴があり、合計36ある
十二の経脈、十五の絡脈、合計27で全身を上下に運行している
井穴=脈気の出てくるところ
栄穴=脈気の流れるところ
兪穴=脈気の注ぎ運ばれるところ
経穴=脈気の通過するところ
合穴=脈気の集まるところ
27の気の運行はみな五輸穴の中にあります

患者の顔面と目の状態を観察し、神気の有無、去来の様子を知ることができます

鍼をする前に、脈状を観察し病状の軽重を理解してから治療法を決定しなければならない
五臓の気がすでに絶えている状態(陰虚)の状態のときに外にある陽経を補ってしまうと陰虚はさらに強くなってしまいます・・・これを重竭といい必ず死にます
死ぬときは静かです。

正気が外に虚してしまったものを陽虚証といい、陰経を補って陽気をさらに虚にさせると四肢の冷えと萎えを引き起こします
これを逆厥といいます。
逆厥も必ず死にます
死ぬときは騒いで安定しないものです。

原穴は十二原の病を主治します。
五臓に病があれば十二原を取るべき
原穴の性質を理解し反応を観察すれば五臓の病変を知ることが出来るのです。

どんな古い病気であっても、必ず治せる
治せないのは技術がないからだ

熱病に対する鍼治療は、浅く素早く刺して、沸騰したお湯で手を探るかのようにおこないます。
寒冷病に対する鍼治療は、深く刺して鍼を留め、人が別れを惜しむようにゆっくり留めるのです。
陰分に熱がある場合は足三里を取り邪気が下るのを待って鍼を抜きます。
病気が身体の上部にあって蔵に属していれば陰陵泉をとります
病気が身体の上部にあって腑に属していれば陽陵泉をとります

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