霊枢「口問篇」

およそ疾病の発生は

・風雨寒暑
・房事過多
・喜怒に節度がない
・飲食が調和しない
・居場所が不適切
・おおいに驚き恐れる
などといった原因によっておこります。

そうすると

・気血は分離
・陰陽は衰え
・経脈は塞がれ
・脈道は通ぜず
・陰陽は逆乱
・衛気は停滞
・経脈は空虚
・気血の循行は乱れ

人体は正常を失う

「人があくびをする原因」
衛気は日中は陽分をめぐり、夜間は陰分をめぐる。
陰気は夜と静寂を主るので、夜になるとほとんど眠ります。
陽気は上昇を主って上に向かい、陰気は下降を司って下に向かいます。
そのため陰気は下に集まり、陽気が陰分に入りはじめると、陽は陰気を引いて上に昇り、陰は陽気を引いて下に降り、陰陽が上下に相引き、続けさまにあくびが出るのです。
陽気がみな陰分に入り、陰気が盛んになりますと、目を閉じて安眠することができます。
もし陰気が尽き陽気が盛んになりますと、人は目を覚まします。
このような病気には、少陰腎経を瀉し、太陽膀胱経を補うべきです。

「しゃっくりする原因」
正常な状況下では、食べ物が胃に入ると消化吸収しやすいようにこなれ、脾の運化作用によって水穀の精微の気が肺に注がれます。もし患者がもともと寒邪を受けていると、そこに新たに食べたものが入り、寒邪と食物がともに胃の中に留まります。
新しく入った食べ物ともとからの寒邪が互いに錯乱しあい、正邪が互いに相争い、邪気と胃の気が反揆したり、結びついたりしながら、同時に上逆し、再び胃の中から出て、しゃっくりが起こります。
治療は太陰肺経を補い、少陰腎経を瀉す

「人が哀しみ嘆く原因」
陰気が盛んで、陽気が虚し、陰気の運行が迅速で、陽気の運行は緩慢になり、ひどいときには、陰気が盛んすぎて、陽気が衰微して、そのために哀しみ嘆くのです。
治療は太陽膀胱経を補い、少陰腎経を瀉す。

「人が悪寒して震える原因」
寒邪が皮膚に侵入すると、陰寒の邪だけが盛んとなり、体表の陽気は虚してしまいます。
それで寒気がして震えるのです。
治療は陽経を温め補う方法を使う。

「人がくしゃみをする理由」
陽気が穏やかに疎通し、心や胸に満ち、上って鼻から出てくしゃみとなります。
治療は太陽膀胱経の足通谷と攅竹を使う。

「人が全身力なく、疲労困憊し、だらんとする理由」
胃の気が虚しますと、各経脈が虚し衰えると筋脈がだらけ無力となります。
筋脈がだらけているのに、房事に励むと元気は回復できません。
治療には病変が発生した主要な部位の肌肉の間に補法を施すべき

「人が哀しむと鼻水と涙がともに出る原因」
心は五臓六府の中心です。
目はたくさんの経脈が集まるところで、津液が上から外へ泄れる道
口と鼻は気が出入りするところ
悲哀憂愁の変化があると、心が激動し、心が不安定になると臓府に影響
各経脈に波及して、目や口や鼻の通り道を広げ津液が出てきます。
泣き止まなければ精液は消耗枯渇し、孔竅を濡し養うことができなければ目が見えなくなる。
治療は太陽膀胱経の天柱

「人がため息をつく原因」
心配して思案すると心系がせっぱつまると、気道が圧迫され、呼吸が不自由となり、そのため深呼吸で気道を広げます。
治療には少陰心経・厥陰心包経・少陽胆経に補い置鍼する。

「人が涎をながす原因」
飲食が胃に入ったときに胃に熱があると、寄生虫が熱のために悶え苦しみます。
そうすると胃の気が弛緩し、舌下の廉泉が開き涎が流れる。
治療は少陰腎経を補う。

「耳鳴りがする原因」
耳はたくさんの経脈が集まるところ
もしも、胃の中が空になると栄養は供給不足になり、経脈は必ず虚します。
経脈が虚すと陽気は昇らず栄養を供給できず、耳部分に入った経脈の気血は充たされず、消耗枯渇していきます。それで耳鳴りがおこる。
治療は少陽胆経の客主人と太陰肺経の少商を補う。

「ときどき、舌を噛むことがある原因」
厥逆が上に昇り、各経脈の気に影響を与える
例えば少陰(腎・心)の脈気が上逆すると舌を噛み
少陽(胆・三焦)の脈気が上逆すると頬を噛む
陽明(胃・大腸)の脈気が上逆すると唇を噛む
治療は、なんの経絡なのかを確かめ、補法

いままで述べてきた12種類の病邪は、みな悪いものが人体に侵入しておきたもの
邪気が侵入したところは、みな生気不足となったものです。

およそ、上気が不足すると
脳髄が満たされず、耳鳴り。頭が傾く・目が眩むなどの症状

中気が不足すると
大小便が異常となり、腸が動いて音をたてるなどの症状

下気が不足すると
両足が萎えて無力となり、手足の先から冷え、胸が塞がれ悶々とする

治療は太陽膀胱経の崑崙を補い置鍼する

「今までの病気はどのように治療すればよいか?」

・腎はあくび
治療は腎経

・肺はしゃっくり
治療は肺経と腎経

・哀しみ嘆くのは陰が盛んで陽が衰えているためなので
治療は膀胱経を補い、腎経を瀉す

・悪寒してふるえるときには、各経絡を補う

・ゲップは、脾経と胃経を補う

・くしゃみは攅竹穴を補う

・肢体に力がないときは、発病したところの肌肉を補う

・泣いて鼻水や涙がともに出るときは天柱穴を補う

・ため息は、心経、心包経、胆経を補い置鍼法をつかうべき

・涎が流れるときは腎経を補う

・耳鳴りには客主人、少商を補う

・自分で自分の頬や舌を噛むときは発病した部位の経脈に補法

・目が眩む、頭が傾くときは崑崙を補い、置鍼

・手足が萎えて力が入らず、手足の先から冷えて胸が塞がれ悶々とするときは足の親指の本節の後2寸のところを刺し、置鍼、、、もしくは崑崙を刺して置鍼

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