霊枢「天年篇」
「人が生命を受けるとき、何を基礎とし、何を防御とするのか?何を失うと死んでしまうのか?何を得れば生存できるのか?」
・母親の血を基礎とし、父親の精を防御機能とする。
父の精、母の血が結合することによって神気が生まれます。
神気を失えば死んでしまう
神気があってはじめて生命を維持できる
「神とはなにか?」
・人体の気血が調和し、営衛の運行がスムーズに流れ、五臓が形成された後、神気が心に貯蔵され、魂魄も備わったら、そこで一つの完全な人体ができあがる
「人の寿命には長短の違いがある」
・五臓が丈夫で、血脈が調和し、肌肉の間が通じて滞るとこがなく、皮膚が緻密で、営衛の運行が常度を失わず、呼吸が調和して緩やかで、全身の気が規律正しく運行し、六腑も正常に飲食物を消化でき、精微な津液が全身に散布され、人体を滋養し、各臓腑の機能が正常であれば、生命の維持できて長寿になることが多い
「百歳まで生きることが出来ず亡くなるものがいるが、どのようにして長寿になるのか?」
・長寿の人は、鼻の穴と人中が深くて長く、顔の骨格が高くて厚くて真四角、営衛の循環が滞ることなく流れ、顔の三停がそびえ立って、平坦であったり窪んだりせず、肌肉の肉付きがよく、骨格が高く隆起しています。
こうした丈夫な身体が百歳まで生きて天年をまっとうできる
「人の気血の盛衰や、生まれてから死ぬまでの過程とは?」
・人は十歳で五臓が発育して一定の丈夫さになり、気血の運行もスムースになり、正気が下部にあるので、よく動き、よく走り回るようになる。
・二十歳になると、血気が盛んになりはじめ、肌肉もちょうど発達するので、行動がさらに俊敏になり、歩くのが早くなる。
・三十歳になると、五臓はもはや強健に発育し、全身の肌肉は強固になり、血気は充ちて盛んになるので、歩き方が穏やかになり、落ち着きを払って歩くのを好むようになる。
・四十歳になると、五臓六腑、12経脈が全て健全で、これ以上成長しない程度になり、この頃から肌のキメが柔らかくなりはじめ、顔色の艶が次第に衰え、毛髪は白くなりはじめ、経気が安定して盛んになってそれ以上発展できない段階に到達し、精力が充分には充ちてこないので、座る事を好むようになる。
・五十歳になると、肝気がおとろいはじめ、肝葉が薄弱となり、胆汁も減少するので、目がぼんやりかすみはじめます。
・六十歳になると、心気がおとろいはじめ、いつも憂い悲しみ、血気はすでに衰え、その運行もスムーズではなく、、体が怠惰になるので、横臥する事を好みます。
・七十歳になると、脾気が虚弱になり、皮膚は枯れてかさかさになります。
・八十歳になると、肺気が衰弱し、魄を貯蔵できず、言葉もしばしば間違います。
・九十歳になると、腎気も枯渇してしまい、そのほかの四蔵の経脈を流れる血気も無くなってしまいます。
・百歳になると、五臓の経脈は全て空虚になり、五臓に貯蔵された神気がすべて無くなってしまい、形骸だけ残り死んでしまいます。
「生きるべき年までいかないで死んでしまう者もいるが、なぜ?」
【長生きできない人】
・五臓が堅固ではない
・鼻孔と人中の溝が深くい
・鼻孔が外に拡がって、呼吸が早い
・顔の骨格が小さく
・脈管が薄く弱く
・脈中の血が少なくて満ちておらず
・肌肉が堅くしまっておらず皮膚の腠理が弛緩
風寒に襲われると、気血がさらに虚になり、血脈が流れず、外邪に容易に負けてしまいます。