霊枢「天年篇」④
「人の気血の盛衰や、生まれてから死ぬまでの過程とは?」
・人は十歳で五臓が発育して一定の丈夫さになり、気血の運行もスムースになり、正気が下部にあるので、よく動き、よく走り回るようになる。
・二十歳になると、血気が盛んになりはじめ、肌肉もちょうど発達するので、行動がさらに俊敏になり、歩くのが早くなる。
・三十歳になると、五臓はもはや強健に発育し、全身の肌肉は強固になり、血気は充ちて盛んになるので、歩き方が穏やかになり、落ち着きを払って歩くのを好むようになる。
・四十歳になると、五臓六腑、12経脈が全て健全で、これ以上成長しない程度になり、この頃から肌のキメが柔らかくなりはじめ、顔色の艶が次第に衰え、毛髪は白くなりはじめ、経気が安定して盛んになってそれ以上発展できない段階に到達し、精力が充分には充ちてこないので、座る事を好むようになる。
・五十歳になると、肝気がおとろいはじめ、肝葉が薄弱となり、胆汁も減少するので、目がぼんやりかすみはじめます。
・六十歳になると、心気がおとろいはじめ、いつも憂い悲しみ、血気はすでに衰え、その運行もスムーズではなく、、体が怠惰になるので、横臥する事を好みます。
・七十歳になると、脾気が虚弱になり、皮膚は枯れてかさかさになります。
・八十歳になると、肺気が衰弱し、魄を貯蔵できず、言葉もしばしば間違います。
・九十歳になると、腎気も枯渇してしまい、そのほかの四蔵の経脈を流れる血気も無くなってしまいます。
・百歳になると、五臓の経脈は全て空虚になり、五臓に貯蔵された神気がすべて無くなってしまい、形骸だけ残り死んでしまいます。