霊枢「陰陽二十五人篇」

「人には陰類、陽類とがあるがどう違うのか?」
・最初に「木火土金水」の5つの累型を明確に区別しなければならず、その次に五色の相違、さらに五種類の形態の区別をすることによって、25種類の人の形態が明らかにかります。

木形の人は、木音の中の上角に属し、東方の人に似てます。
・皮膚は青みを帯び
・頭は小さく
・顔は長く
・肩と背は広く
・身体は真っ直ぐ
・手足は小さく
・才知があり
・心労し
・体力は強からず
・よく心配する

季節の適応に関しては
・春夏には絶えられる
・秋冬には絶えられず、すぐに病気になります。
・足の厥陰肝経に属し、その性格の特徴はおだやかで麗しくゆったりしている

木気をうけても偏りがあり、左右上下の4つの類型があります。
・左の上方は木音中の大角に属し、左足の少陽経の上に比類され、性格は謙虚で穏やか
・右の下方は木音中の左角に属し、右足の少陽経の下に比類され、性格は人付き合いがよく従順
・右の上方は木音中のだい角に属し、右足の少陽経の上に比類され、性格は上達しようとする勇気があります
・左の下方は木音中の半角に属し、左足の少陽経の下に比類され、性格は正直でへつらいません

火形の人は、火音の中の上徴に属し、南方の人に似てます。
・皮膚は赤みを帯び
・背脊は広く
・面は痩せ
・頭は小さく
・肩背髀腹の発育が良い
・手足は小さく
・歩行はゆったり
・思考は早く
・歩くときは肩を揺らし
・背部の肉付きがよく
・人となりは気概がある
・財を軽んじ
・信心は薄く
・憂慮は多く
・物事を観察することに長け
・外見は愛らしく
・性惰は忙しなく
・長寿を全うできず、たいてい急死する

季節の適応に関しては
・春夏には絶えられる
・秋冬には絶えられず、すぐに病気になります。
・手の少陰心経に属し、その性格は誠実な人柄

火気をうけても偏りがあり、左右上下の4つの類型があります。
・左の上方は火音中の質徴に属し、左手の太陽経の上に比類され、性格は見識が浅薄
・右の下方は火音中の少徴に属し、右手の太陽経の下に比類され、性格は疑い深い
・右の上方は火音中の右徴に属し、右手の太陽経の上に比類され、性格は向上しようとする気概をもっている
・左の下方は火音中の質判に属し、左手の太陽経の下に比類され、性格はこころ楽しく満足し、憂いや煩いのないことです。

土形の人は、土音の中の上宮に属し、中央の人に似てます。
・皮膚は黄色を帯び
・丸顔
・頭は大きく
・肩背は豊かで健康美
・腹は大きく
・下肢は大腿から足脛にいたるまで壮健
・手足は小さく
・肌肉は豊満
・全身の上下それぞれ均衡がとれている
・歩行はゆったりしている
・物静か
・よく人を助け
・権勢を求めず
・人と友好的

季節の適応に関しては
・秋冬には絶えられる
・春夏には絶えられず、すぐに病気になります。
・足の太陰脾経に属し、その性格は誠実

土気をうけても偏りがあり、左右上下の4つの類型があります。
・左の上方は土音中の大宮に属し、左足の陽明経の上に比類され、性格は穏やかで素直
・左の下方は土音中の加宮に属し、左足の陽明経の下に比類され、性格はいつも喜びに満ちた表情
・右の上方は土音中の少宮に属し、右足の陽明経の上に比類され、性格は言動や処置が円滑
・右の下方は土音中の左宮に属し、右手の陽明経の下に比類され、性格は一心に勉めて困難を恐れない精神をもっている

金形の人は、金音の中の上商に属し、西方の人に似てます。
・皮膚は白く
・四角顔
・頭が小さく
・肩背が小さく
・腹は小さく
・足脛から下は堅く丈夫
・手足は小さく
・骨がかかとから外へ出ている
・行動は軽快
・性格は清廉
・動と静をあわせ持ち、動のときは勇猛果敢であり、官史に適している

季節の適応に関しては
・秋冬には絶えられる
・春夏には絶えられず、すぐに病気になります。
・足の太陰肺経に属し、その性格は堅忍不抜(意志がしっかりしていて何事にも動じないこと)

金気をうけても偏りがあり、左右上下の4つの類型があります。
・左の上方は金音中の大商に属し、左手の陽明経の上に比類され、性格は清廉潔白
・左の下方は金音中の右商に属し、左手の陽明経の下に比類され、性格はさっぱりして清らか
・右の上方は金音中の大商に属し、右手の陽明経の上に比類され、性格は是非を明らかに察することに長けている。
・右の下方は金音中の少商に属し、右手の陽明経の下に比類され、性格は威厳があり重々しい

水形の人は、水音の中の上羽に属し、北方の人に似てます。
・皮膚は黒く
・顔には皺があり
・頭が大きく
・顎が広く
・肩背が小さく
・腹は大きく
・手足を動かすことを好み
・道を歩くときは身体を揺らします
・尻骨はやや長く
・背骨も長く
・人に対する態度は丁寧ではなく
・恐れない
・よくひとを欺き、殺戮する

季節の適応に関しては
・秋冬には絶えられる
・春夏には絶えられず、すぐに病気になります。
・足の少陰腎経に属し、その性格はすることにとりとめがない

水気をうけても偏りがあり、左右上下の4つの類型があります。
・右の上方は水音中の大羽に属し、右足の太陽経の上に比類され、性格は顔つきがようようとして得意げ
・左の下方は水音中の少羽に属し、左足の太陽経の下に比類され、性格は歯切れが悪いこと
・右の下方は水音中の衆羽に属し、右足の太陽経の下に比類され、性格は大人しく静か
・左の上方は水音中の桎羽に属し、左足の太陽経の上に比類され、性格は高尚な品徳をもっている

「年忌」
7歳を基礎にして9年ずつ加えていく
16歳、25歳、34歳、43歳、52歳、61歳・・・
これらの年齢は皆「大忌」の年ですから、必ず精神と身体を慈愛して注意しないといけない
さもないと、すぐに病邪に感受して病気になり、治療を誤れば生命の危険も生じる

「気血の多少に基づいて体表の観察をするとどうなる?」
・上部を循行する足の陽明経が血気が充実していれば、両頬のヒゲは美しく長い
血が少く気が多ければヒゲは短い
気が少なく血が多ければヒゲは少ない
血気がともに少なければヒゲは生えず、口角の両側に筋が多くなる

・下部を循行する足の陽明経が血気が充実していれば、陰毛は美しく長く胸部まで達する
血が多く、気が少なければ陰毛は美しいが短く、臍部までいかない、歩くとき足を高く挙げ、足指の肌肉が少なく、冷えを覚える
気が多く、血が少なければ凍傷に罹りやすい
血気とも少ない場合、陰毛は生えず、痿・厥・痺などの病に患いやすい

・上部を循行する足の太陽経の血気が充実していれば、眉毛は麗しく長く剛毛が混じっている
血が多く気が少なければ眉毛は枯れて、顔に細かな皺が現れる
血が少なく気が多ければ、顔面部の肌肉は豊満
気血が調和していれば顔色はきれい

・下部を循行する足の太陽経が血気が充実していれば、足根部の肌肉は豊満で堅実
気が少く血が多ければ足根部の肌肉はやせ、おびただしいときは肉がなくなる
気が少なく血が多ければヒゲは少ない
気血がともに少なければ転筋や足根部の痛みの証を起こしやすい

・上部を循行する手の陽明経の気血が充実していれば、口ひげは秀麗華美
血が少なく気が多ければ口ひげはみすぼらしく艶がない
気血ともに不足すると手の肌肉が痩せて冷たい

・上部を循行する手の少陽経の血気が充実していれば、眉毛は麗しく長く、耳部もきれいで潤いがある
気血ともに少なければ、耳部は焦げ枯れたようで艶がない

・下部を循行する手の少陽経の血気が充実していれば、手の肌肉は豊満で常に温かい
気血がともに不足していれば、手の肌肉は痩せて冷たくなる
気が少なく血が多い場合は、手の肌肉は痩せ絡脈が多くあらわれる

・上部を循行する手の太陽経の気血が充実していれば、あごひげが多く美しく、顔面は豊満
気血がともに少なければ、顔面部は痩せて顔色が悪くなります。

・下部を循行する手の太陽経の血気が充実していれば、掌の肉は豊満
気血がともに少なければ掌の肌肉は痩せて冷たい

「25種類の異なる類型に鍼治療をするときは一定の法則はあるのか?」
・眉が秀麗なら、足の太陽経が充足
まばらならば気血ともに少ない
・からだの肌肉が豊満で潤沢なのは、気血に余りがある
肥えていて潤沢でないのは気が多く血が少ない
痩せて潤沢がないものは気血とも不足

「三陰三陽の経脈に現れた病変に対してはどのような刺鍼をすればいいのか?」
・人迎と寸口の脈を観察して、陰陽の盛衰変化を詳細に察知し、経絡を触診し、気血の鬱滞や渋滞不通の有無を診察する
気血が通じたところで治療はおしまい

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