霊枢「歳露論篇」

「夏に暑気に傷られると、秋に瘧疾を病むとある、瘧疾じゃ一定の時間に発作が起こるがその理由とはなにか?」
・邪気が風府に入ると、脊椎にそって下行します。
人体の衛気の間循行すると風府で会合し、その後脊椎に沿って毎日一節ずつ下行していきます。
このように衛気が邪気を出会うのが一日ごとに遅くなるので、瘧疾の発作が起こる時間も日ごとに遅くなっていくのですが、それは邪気がすでに脊背に侵入したからです。
衛気が運行して風府に至るごとに腠理が開き、腠理が開くと邪気が間隙に乗じて侵入し、邪気はひとたび侵入しれば衛気と争い、発作をおこします。
それで瘧疾の発作が起こる時間が常に少しずつ遅くなるのです。
衛気は運行して風府に沿って毎日一節ずつ下行し、二十一日を経て一番下の尾てい骨に至り、二十二日目に脊内に入り、伏衝の脈に流入し、ここから転じて上行し、九日を経て左右の缺盆の中間に出ます。
気が上行して日ごとに高くなるので、発病する時間が一日ごとに早くなるのです。
邪気が五臓に接近し、募原に接触すると、邪気は裏に深く侵入しているので、体表までの距離も遠く、動きも遅緩しているので、毎日外表へ出て衛気と争い発病させることができません。
それで次の日に邪気が集結して、ようやく発作を起こすのです。

「衛気が運行して風府に至るごとに腠理が開き、開くと邪気が隙に乗じて侵入して発病するが、衛気が毎日一節ずつ下行するとすれば、時には風府にないこともあろう、とすれば瘧疾の発作が起こるのか?」
・風邪が侵入する時、固定した部位というのはありません。
邪気の所在するところへ衛気が行きさえすれば、正気と邪気の争いを引き起こして反応し、必ず腠理を開かせて発作を起こすのです。
ですから、邪気が留止しているとこが、すねわち発病部位なのです。

「風邪に傷られた病と瘧疾は同類でよく似ている。しかし、風邪が外感した病証は常に持続するものであるが、瘧疾の発作は間歇することがあるが理由を知りたい」
・風邪は常に肌表に停留しますが、瘧邪は経絡に沿って深く侵入し、内に集結しますので、それで瘧邪の所在するところへ衛気が行き、両者が遭遇したとき、病邪に対する防衛反応が起こり、瘧疾の発作が起こるのです。

「四季の八風が人体が損傷するときには、もとより寒暑の気候で違いがあり、寒冷時には人の皮膚が緊張し、腠理も閉じ、暑熱時には人の皮膚が弛緩し、腠理も開く
賊風邪気は、腠理が開いているときに侵入するものなのか?それとも、必ず四時八節の異常気象と相まって初めて傷害するものなのか?」
・必ず腠理が開いていなければいけません
それでなければ、邪気は虚に乗じて深く侵入することはできない
邪気が裏に深く入ると、病は重く、発病も急激です
腠理が開いていない場合、かりに邪気が侵入したとしても、浅い部位に逗留するだけで、発病も緩やかで遅くなります。

「寒暖の気温変化に十分適応し、腠理も開いていないのに、それでも突然病気になるものがいる、なぜか?」
・人は自然界と密接な関係があり、日月の運行とも常に相応しています。
したがって、月が満ちているときは、海水は西に盛んになり、それに応じて人の気血も滑らかに流れ、盛んに体表を潤しますので、肌肉は充実し、皮膚は緻密になり、毛髪は強靭になり、腠理は閉じ合わさり、皮脂が多いので、表が堅固になります。
このときに、かりに賊風の侵入を受けても、浅い部位に侵入するだけで深くはありません。
月が欠けてきますと、海水は東に盛んになり、それに応じて人の気血も虚す、体表の衛気も減少しますので、外見は平常通りでも、その肌肉は痩せ、皮膚は弛緩し、腠理は開き、毛髪は折れ、皮膚の筋目も剥落します。
このときに、賊風の侵入に遭えば、邪気が深く裏に侵入しますので発病も急激なのです。

「突然死亡したり、或いは突然に発病するものがいるが、それはどうしてか?」
・その人の体質がもともと虚弱であり、さらに自然環境においても三虚に遭遇しますと、内因と外因が呼応して突然死や突然の発病をもたらすのです。もし自然環境が三実であれば、邪気に傷害されることはありません

※自然環境の三虚とは
・年の歳気が普及
・月が欠けて光がない
・四季の気候の異常
三実はその逆

「一年の中、多くの人が同じ病に罹るが、原因はなにか?」
・八方の風(気候)の正常と異常を観測しなければいけない

「どのように観察すればいいのか?」
気象の観測は冬至を起点とし、北斗星の指し示す真北を視ます。
節気が交代するとき、その日が来れば、必ず風雨がきます
風雨の南方から来るものを虚風と呼びます。
これは人体を傷害するものです。
もし風が夜半に吹けば、この時人びとはすでに眠っていますので、邪気は容易に侵犯することだできません。
ですから、その年は病気になる人は少ないのです。
もし風雨が昼に出現しますと、人々とも防衛をゆるめ怠っていますので、容易に虚風の損傷を受け、発病します。
もし、冬に虚邪を感受し、邪気が深く骨まで侵入しても、その時には発病するには至らず、立春に至って、陽気がしだいに盛んになり、腠理が開く頃、伏邪がそれを待って発動し、さらに立春の日に西風が吹くと、人々がまた虚風に中たることになります・
そうすると、伏邪が新邪と合併し、経脈の中に留結して、両邪が交代して発病いたします。
風雨の異常気象に遭遇した年や月には、発病する人が多いので、歳露に遇う、というのです。
要するに、一年の中の気候が順調であり、賊風の出現が少なければ、病気に罹る人は少なく、死亡知る人も少ないのです。
一年中賊風邪気が出現し、気候の寒暖が不順であれば、病気に罹る人が多く、死亡する人も多いのです。

「虚邪に属する風が、人を傷害する軽重多少の程度は、どのように判断して予測するのか?」
正月初日、北斗星は東北方を指し示します。
もし、この日に西北から風が吹いて、雨が振らなければ、多数の人が発病し死亡するでしょう。
もしこの日、明け方に北風が吹けば春に多数の死亡者がでるでしょう。
もしこの日、明け方に北風が吹けば、発病する人の多く、十分の三を占めるでしょう。

正月初日、もし正午に北風が吹けば、夏に多数の人が発病し死亡するでしょう。
もし正午に北風が吹けば、夏に多数の人が発病し死亡するでしょう。
もしこの日、夕方に北風が吹けば秋に多数の人が発病し死亡するでしょう。
もし、一日中北風が吹けば、人々は重い病気に罹り、死亡する人は十分の六になるでしょう。

正月初日、南方から吹く風を早郷と呼びます。
西方から吹く風を白骨将と呼びます。
流行病が国中に蔓延し、多数の人が死亡するでしょう。
もし、この日、東方から大風が吹き、屋根を吹き飛ばし、砂石をふきあげれば、国中に災害がおこるでしょう。
もし、この日に、東南方から風が吹けば、春に多数の人が病死するでしょう。
もし天気が寒冷で風があれば、それは不作の前兆であり、穀物の価格も高騰し、発病する人も多いでしょう。
これが、正月の初日に風向を観察すれば、その年の虚邪が人を傷害して発病させる程度の軽重多少の概況を予測することができると言われることです。
もし、2月の丑の日に風が吹かなければ、多数の人が心腹病に罹るでしょう

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