霊枢「大惑論篇」②

「健忘症の人の原因は?」

・人の上部の気が足りず、下部の気に余りがあると、腸と胃の気が実して、心と肺の気が虚すと、営衛の気を下部に繋留させ、それが長期にわたると時間通りに上行できなくなるので、健忘症になるのです。

「すぐに空腹になるのに、食べたがらない人がいる、これはなぜか?」

・精気が脾に停滞し、胃熱が盛んになり、水穀を消化しやすくなり、水穀が消化されやすいので、すぐに空腹を感じるのです。
また、胃気が上逆して、胃脘が塞がって通じないので、物を食べたいと思わないのです。

「人が病んで安眠できないのは、なにが原因?」

・それは、衛気が陰分に入ることができず、常に陽分に停留するためです。
陽分に繋留すると、陽気が充満し、陽気が充満すると、陽蹻脈が脈気のほうだけを盛んにさせ、陰分に入ることが出来なくなって、陰分が虚します。
そのため、眼を閉じて入眠することができないのです。

「目を閉じて開けられず、ものを視ることができない原因は?」

・それは、衛気が陰分に繋留して、陽分へ運行することができないためです。陰分に繋留すると、陰が盛んになり、陰気が盛んになると、陰蹻脈を充満させ、陽分へはいけないので、陽分の気が虚します。
そのため、目が閉じて開かないのです。

「いつも眠くて睡眠を好む人がいるが、なにが原因か?」

・この類いの人は、腸胃が大きく、皮膚が粗く渋り、肌肉がなめらかでないからです。
腸胃が大きいと衛気を停留させる時間が長くなり、皮膚が渋ると、肌肉が滑らかでなくなり、衛気の運行が遅く緩やかになります。
衛気は、日中は陽分を運行し、夜間は陰分を運行します。
ですから、陽分の衛気が尽きれば眠くなり、陰分の衛気が尽きれば目を醒ますのです。
したがって、腸胃が大きければ、衛気の繋留する時間も長くなり、皮膚が渋り、分肉が滑らかでなければ、衛気の運行が遅くなります。
衛気が陰分に停留する時間が長く、その気は清くなく、通常のように陽分へ運行することができないので、目を閉じてしまい、睡眠が多くなるのです。
もし、腸胃が小さければ、皮膚は滑らかで弛緩し、分肉もつるつる滑らかであり、衛気が陽分に停留する時間も比較的長いので、それで目を閉じることも少なく、睡眠時間も短いのです。

「普段、ぜんぜん寝ない人が、突然に多眠になる原因は?」

・邪気が上焦に滞留すると、上焦が閉塞して通じなくなります。
このとき、飽食したり、或いはお湯を飲むと、衛気が長く陰分に留まり、陽分へ行くことができません。
それで突然に多睡眠が生じます。

「これらの病変を治療するには、どのような方法を用いるのか?」

・まず、疾病がどの臓腑に属しているのかを明らかにして、軽微な邪気を除きます。
しかるに後に営衛の気を調え、実証には瀉法、虚証には補法を使います。
必ず、感情の苦楽の状況を明らかにしなければなりません。
それらに診断を下してから治療をすすめます

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