脈経「両手六脈所主五臓六腑陰陽逆順第七」

脈法讃という書物によれば、肝と心の状態は左手の脈診部で診る。脾と肺の状態は右手の脈診部で診る。腎と命門の状態は左右の尺中で診る。
魂・魄・殻・神、すなわち人体の気血の多少や栄養状態あるいは精神状態はすべて寸口に現れるものだが、特に左手は陽に関係があり、右手は陰に関係がある。
だから男が左手の脈が大の場合は順とする。
女が右手の脈が大の場合は順とする。

関上の一分前のところは人命に関係する重要な場所だが、左手のこの部分を人迎と名付け、右のこの部分を気口と名付ける。
また左右の関上のすぐ後に神門という部位がある。
やはりここでも脈を診るが、この人迎と気口及び神門の脈がない病人は治らない。
そのほか、各経絡の虚実については、それぞれの部位で診察して、どの経絡が先に病んだかを判定する。
治療に関しては、一般に陰病であれば陽を治し、陽病であれば陰を治するが、どこに病邪があるかを知って、これに対して、どのような治療を施せばよいのかが分かれば、鍼を刺して治せるのである。

心経の状態を診察する脈診部は、左手の関上の前の寸口部である。
これは、手の少陰経である。
手の太陽小腸経と表裏の関係になっているので、小腸経の状態もわかる。
また腑は小腸であり、上焦とも関係する。
上焦に合する部位を神庭というが、これは亀尾の五分下のところである。

肝経の状態を診察する脈診部は左手の関上である。
これは足の厥陰経である。
足の少陽経ち表裏関係にあるので、胆経の状態もわかる。
また腑は胆であり、中焦とも関係している。
中焦に合する部を胞門という。
大倉の左右3寸のところにある。

腎経の状態を診察する脈診部は左手の尺中である。
これは足の少陰腎経である。
足の太陽膀胱経と表裏の関係にあるので、膀胱経の状態もわかる。
また腑は膀胱であり、下焦とも関係がある。
下焦と合する部位は関元の左にある。

肺経の状態を診察する脈診部は右の寸口である。
手の陽明経と表裏の関係になっているので、大腸経の状態も分かる。
また、腑は大腸であり、上焦にも関係がある。
上焦と合する部位を呼吸の府ともいうが、これは雲門穴である。

脾経の状態を診察する脈診部は右の関上である。
足の陽明経と表裏の関係になっているので、胃経の状態も分かる。
また、腑は胃であり、中焦にも関係がある。
中焦と合する部位は脾と胃である。
この部を章門という。

腎経の状態を診察する脈診部は右手の尺中である。
これは足の少陰経である。
足の太陽経と表裏の関係になっているので、膀胱経の状態も分かる。
また、腑は膀胱であり、下焦にも関係がある。
その部位は関元の右である。
ただし、左手尺中も腎と膀胱を診るが、右の尺中は同じ腎であっても、腎の陽気である命門の状態を診る。
また膀胱といっても実際には子宮の状態を診るのだ。
これは三焦の働きとも関係がある。

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