脈経「平三関陰陽二十四気脈第一」

左手の関上の前、つまり寸口を軽く按圧して脈が感じられない場合は、小腸経の脈気が虚しているのだ。
臍部の腹痛や、下腹にしこりがあるために、心気が盛んに働く月になると、冷えが上がってきて胸に突き上がってくるなどの症状が現われる。
このような時は手の厥陰心包経を治療して陰気を治めてやるとよい。
治療穴は腕関節横紋の手掌側中央にある。

左手の関上の前、つまり寸口を軽く按圧して脈が実の場合は小腸の実である。
心下急痺、小便が赤黄色などの症状が現われる。
これは小腸に熱があるからである。
このような時は手の太陽経を治療して陽気を治めてやるとよい。
治療穴は手の小指の中手指節関節の後ろの尺側陥凹部にある。

左手の関上の前、つまり寸口を深く按圧して脈が感じられない場合は、心経の脈気が虚しているのだ。
心下毒痛、手掌の熱感、吐き気、口内炎などの症状が現われる。
このような時は、手の太陽小腸経を治療して、陽気を治めるとよい。

左手の関上の前、つまり寸口部を深く按圧して脈が実の場合は心の実である。
心下に水気があるために色々な症状が現われる。
これは憂えたり怒ったりして起こる。
このような時は手の厥陰心包経を治療して陰気を治めてやるとよい。

左手の関上を軽く按圧して脈が感じられない場合は、胆経の脈気が虚しているのだ。
膝の疼痛、口の苦味、めまい、よく恐れて、亡者と会っているような状態になり、よく驚く、また気力がない等の症状が現われる。
このような時は足の厥陰経を治療して陰気を治めてやるとよい。
治療穴は足の大指の間か三毛中にある。

左手の関上を軽く按圧して脈が実している場合は胆の実である。
腹にものが詰まったような感じで安静にしておれない。
また身体がしなびるなどの症状が現れる。
このような時は足の少陽胆経を治療して陽気を治めてやるとよい。
治療穴は足背の第二指の中足骨の後、一寸のところにある。

左手の関上を深く按圧して脈動を感じない場合は、肝経の脈気が虚しているのだ。
癃・遺溺などの排尿異常、言語障害、脇下痛、嘔吐などの症状が現われる。
このような時は足の少陽経を治療して陽気を治めてやるとよい。

左手の関上を深く按圧して脈が実している場合は肝の実である。
神経痛や筋肉の引きつりなどの症状が現われる。
このような時は足の厥陰肝経を治療して陰気を治めてやるとよい。

左手の関上の後、つまり尺中を軽く按圧して脈が感じられない場合は、膀胱の脈気が虚しているのだ。
足から冷え上る、月経不順、月経閉止、男子の場合は失精、小便が漏れるなどの症状が現れる。
このような時は足の少陰腎経を治療して、陰気を治めてやるとよい。
治療穴は足の内踝の下で、動脈のある部位だ。

左手の関上の後ろ、つまり尺中を軽く按圧して脈が実している場合は膀胱の実である。
足から冷え上がる、脇下の痛みと腰の痛みが引き合うように痛むなどの症状がある。
このような時は足の太陽膀胱経を治療して陽気を治めてやるとよい。
治療穴は足の小指の外側、中足骨の陥中にある。

左手の関上の後、つまり尺中を深く按圧して脈が感じられない場合は、腎の脈気が虚しているのだ。
足裏が熱する、大腿部の内側が引きつるなどの症状が現われる。
これは精気がなくなっているためで、少し労働しても疲れてこのようになる。
このようなときは足の太陽経を治療して陽気を治めてやるとよい。

左手の関上の後、つまり尺中を深く按圧して脈が実している場合は腎の実である。
痴呆となる、あるいは健忘症になる、目がかすむ、耳が詰まって耳鳴りがするなどの症状が現われる。
このようなときは、足の少陰腎経を治療して陰気を治めてやる。

右手の関上の前、つまり寸口を軽く按圧して脈が感じられない場合は、大腸経の脈気が虚しているのだ。
呼吸が浅い、心下に水気が有るために立秋になって冷えると咳をするなどの症状が現われる。
このような時は手の太陰肺経を治療して陰気を治めてやるとよい。
治療穴は魚際の間にある。

左手の関上の前、つまり寸口を軽く按圧して脈が実の場合は大腸の実である。
陽の中が錘で突かれるように、あるいは刀で切られるように痛み、それが連続して起こるという症状が現われる。
このような時は手の陽明大腸経を治療して陽気を治めてやるとよい。
治療穴は手首の関節のところにある。

右手の関上の前、つまり寸口を深く按圧して脈が感じられない場合は、肺の脈気が虚しているのだ。
息切れ、咳き込む、のどが塞がる、あくびが込み上げるなどの症状が現われる。
このような時は手の陽明経を刺して陽気を治めるとよい。

右手の関上の前、つまり寸口を深く按圧して脈が実の場合は肺の実である。
呼吸が浅い、胸がはって、ぜいぜいし、その胸のはりと肩が引き合うなどの症状が現われる。
このような時は手の太陰肺経を治療して陰気を治めてやるとよい。

右手の関上を軽く按圧して脈が感じられない場合は、胃経の脈気が虚しているのだ。
胸焼け、頭痛、胃の中が冷えるなどの症状が現われる。
このような時は足の太陰脾経を治療して陰気を治めてやるとよい。
治療穴は足の親指の内側、つまり第一中足趾節関節より一寸あとにある。(公孫)

右手の関上を軽く按圧して脈が実しているのは胃の実である。
腸の中に詰まったようになって食欲がなくなる。
あるいは食べても胃のところに残って消化しないような感じがある。
このようなときは、足の陽明胃経を治療して陽気を治めるとよい。
治療穴は足背の動脈のところにある(衝陽)

右手の関上を深く按圧して脈が感じられない場合は脾の脈気が虚しているのだ。
呼吸が浅い、下痢、腹満、身体がだるい、手足もだるくて動かそうと思わない、吐き気がするなどの症状が現われる。
このような時は足の陽明胃経を治療して陽気を治めてやるとよい。

右手の関上を深く按圧して脈が実している場合は脾の実である。
腸の中が詰まって堅い状態になっている。
便秘もある。
このような時は足の太陰脾経を治療して陰気を治めてやるとよい。

右手の関上の後、つまり尺中を軽く按圧して脈が感じられない場合、命門の脈気が虚しているのだ。
足から冷え上る。流産、帯下、無精子症、不妊症などの症状が現れる。
このような時は足の少陰経を治療して陰気を治めてやるとよい。

右手の関上の後、つまり尺中を軽く按圧して脈が実の場合は膀胱の実である。
下腹と腰とが引き合うように痛む。
このようなときは足の太陽経を治療して陽気を治めてやるとよい。

右手の関上の後、つまり尺中を深く按圧して脈が感じられない場合は腎の脈気が虚しているのだ。
足から冷え上り、胸に突き上ってきて痛む、水に入る夢や亡者の夢を見る。
そのために寝るのを嫌うが、寝ると黒いものが来てその人の上を覆う夢をみる。
このような時は足の太陽経を治療して陽気を治めてやるとよい。

右手の関上の後、つまり尺中を深く按圧して脈が実している場合は腎の実である。
関節の痛み、腰や背中の痛み、内が冷えたり熱したりするような症状が現われる。
このような時は足の少陰経を治療して陰気を治めてやるとよい。

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