脈経「平人迎神門気口前後脈第二」

左手の寸口、つまり人迎より前の脉を深く按圧して実の場合は、手の厥陰経の実である。
便秘、腹満、手足が重い、身熱があるなどの症状が現れる。
また、胃が腫れて苦しいむ
足の三里を治療するとよい。

左手の寸口、つまり人迎より脉を深く按圧して虚の場合は、手の厥陰経の虚である。
動悸、恐れて不安になる、胸や腹がなんとも言えないように痛む、胸がたよりない感じになる、ぼけたようになるなどの症状が現れる

左手の寸口、つまり人迎より前の脈を軽く按圧して実の場合は、手の太陽経の実である。
身熱、あるいは熱が差引きする、汗が出てもだえる、胸がいっぱいになる、身体が重くだるい、口内炎ができるなどの症状が現れる。

左手の寸口、つまり人迎より前の脈を按圧して虚の場合は、手の太陽経の虚である。
頭の生え際の偏頭痛や耳や頬が痛む

左手の寸口、つまり人迎より前の脈を軽くあるいは深く按圧して、浮沈の位とも実の場合は手の少陰経と太陽経がともに実である。
頭痛、身熱、便秘、胸から腹にかけて張って苦しく、じっと寝ておれないなどの症状が現れる。
これは、胃の気がはたらかないために、食べたものが消化されないで停滞しているからである。

左手の寸口、つまり人迎以前の脈を軽くあるいは深く按圧して、浮沈の位とも虚の場合は、手の少陰経と太陽経がともに虚である。
つつくだしのような下痢、冷え、呼吸が浅い、手足が冷える、残便感のある下痢などの症状が現れる

左手の関上の脈を深く按圧して実の場合は、足の厥陰経の実である。
心下が堅く張っている、いつも左右の胸脇部が痛む、自然と腹が立って怒りやすくなるなどの症状が現れる。

左手関上の脈を深く按圧して虚している場合は足の厥陰経の虚である。
脇下堅、悪寒と発熱、腹満、飲食欲せず、腹はり、憂いて楽しまず、月経不利、、または腹痛などの症状が現れる。

左手の関上の脈を軽く按圧して実の場合は、足の少陽経の実である。
何も詰まっていないのに腹が張って苦しい。
食べたものが消化しない。
咽頭が乾く。
頭重、頭痛、ぞくぞくと悪寒する。
脇が痛むなどの症状が現れる。

左手関上の脈を軽く按圧して虚の場合は、足の少陽経の虚である。
めまい、足から冷え上るために足の指の力が抜けて動かせなくなる。
あるいは腰の力が抜けて座ったまま立てない。
無理に立つと倒れる。
目が黄色になる。
失精する、立ちくらみがする等の症状が現れる

左手の関上の脈を軽くあるいは深く按圧して、浮沈も位とも実の場合は、厥陰経と少陽経がともに実である。
胃が腫れる、嘔吐、消化不良などの症状が現れる。

左手の関上の脈を軽くあるいは深く按圧して、浮沈の位ともに虚の場合は厥陰経と少陽経がともに虚である。
恍惚とする、卒倒して人事不省になる。
幻覚が現れる。呼吸が浅い。
言葉がすらすらと出ない、理由もないのに時々驚く。
以上のような症状が現れる。

左手の尺中、つまり新門より後ろの脈を深く按圧して実の場合は、足の少陰経の実である。
膀胱が腫れて小便が気持ちよくでない。
下腹が引きつり、同時に腰も痛むなどの症状が現れる。

左手の尺中、つまり新門より後ろの脈を深く按圧して実の場合は、足の少陰経の実である。
舌が燥く。咽頭が腫れる。胸が苦しい、のどが渇く、胸脇部が時に痛む、ぜいぜいと咳が出る、汗がでる、下腹が張ってふくれる、腰や背がこわばってひきつる、身体がだるい、身体の内部に熱がする、小便が赤黄色くなる。
よく怒ったり、またよく物忘れをする。
足の裏が熱して痛む、手足が黒くなる、耳が聞こえなくなるなど
以上のような症状が現れる

左手尺中、つまり新門より後ろの脈を深く按圧して虚の場合は、足の少陽経の虚である。
心中が悶え苦しい、下痢、足が腫れて立っておれないなどの症状が現れる。

左手尺中、つまり神門より後ろの脈を軽く按圧して実の場合は、足の太陽経の実である。
心下部がつかえて苦しい。腰の中が痛んで屈伸できないなどの症状が現れる。
これは虚労が原因である。

左手の尺中、つまり神門より後ろの脈を軽く按圧して虚の場合は、足の太陽経である。
脚の中の筋が引きつる
腹のすじが痛み、それが腰や背なかに響いて屈伸できない。
下肢の筋肉が引きつる。
悪風、半身不随、腰痛、外果の後ろが痛む
以上のような症状が現れる。

左手の尺中、つまり神門より後の脈を軽くあるいは深く按圧して、浮沈の位とも実の場合は、足の少陰経と太陽経がともに実である。
背中が強張り、引きつけて目が吊り上がる。
気が上がって心に突き上げてくる。
背中が痛んで自分では寝返りできない。
以上のような病症が現れる。

左手の尺中、つまり神門の後の脈を軽くあるいは深く按圧して、浮沈の位とも虚の場合は、足の少陰経と太陽経がともに虚である。
小便の回数、量ともに多い。
胸が痛む、背部が寒い、時々下腹部がはるなどの症状が現れる。

右手の寸口、つまり気口より前の脈を深く按圧して実の場合は、手の太陰経の実である。
肺脹、汗が露のように出る。のぼせて咳き込む、咽喉が塞がって呼吸が苦しく、吐きそうになるなどの症状が現れる。

右手の寸口、つまり気口より前の脈を深く按圧して虚の場合は、手の太陰経の虚である。
呼吸が浅くて息がしにくい。
喉が渇くなどの症状が現れる。
のどが乾くのは津液が集まらずに潤せないからである。

右手の寸口、つまり気口より前の脈を軽く按圧して実している場合は、手の陽明経の実である。
腹がある。
ぜいぜいして咳をする。
そのために顔が赤くなる。
身熱、のどに何かが詰まった感じになる。
以上のような症状が現れる。

右手の寸口、つまり気口より前の脈を軽く按圧して虚の場合は、手の陽明経の虚である。
胸がぜいぜいいう。
腸がゴロゴロ鳴る。
虚しているために口や唇が乾く。
目が引きつる。
よく驚く。
白っぽい下痢をする。
以上のような症状が現れる。

右手の寸口、つまり気口より前の脈を軽くあるいは深く按圧して、浮沈の位とも実の場合は、手の太陰経と陽明経がともに実である。
頭痛、目眩、驚狂、喉の痛み、前腕が引きつる。
唇が引き締まらないなどの症状が現れる。

左手の寸口、つまり気口以前の脈を軽くあるいは深く按圧して、浮沈の位とも虚の場合は、手の太陰経と陽明経がともに虚である。
騒がしいほど耳鳴りがする。
光明をみるなどの幻覚が現れる。
気持ちが塞ぎこむ。
あるいはむやみに恐れたりする。
以上のような症状が現れる。

右手の関上を深く按圧して実の場合は、足の太陰経の実である。
足全体は冷えるが脛部には熱がある。
胸が腫れて張って苦しい。
もだえ苦しくて寝ておれないなどの症状が現われる。

右手の関上の脈を深く按圧して虚の場合は、足の太陰経の虚である。
水様性の下痢、腹が張る、気逆、霍乱、黄疸、胸がもだえて安眠できない、腸鳴などの症状が現われる。

右手の関上の脈を軽く按圧して実の場合は、足の陽明経の実である。
腹中が堅くて痛み、熱がある。温瘧のように汗が出ない。
唇が乾燥する。
しゃっくりがよく出る。
乳に癰ができて、欠盆から脇下にかけて腫れ痛む。
以上のような症状が現われる。

右手の関上の脈を軽く按圧して虚の場合は、足の陽明経の虚である。
脛が冷えて眠れない、ぞくぞくしと悪寒がする、腹が痛み、何も詰まってないのにゴロゴロ鳴る。時には寒い時には熱が出る、唇が乾燥する、顔面が浮腫する
以上のような症状が現われる。

右手の関上の脈を軽くあるいは深く按圧して浮沈の位とも実の場合は、足の太陰経と陽明経がともに実である。
脾は腫れて腹が堅くなり、脇下に突き上ってきて痛む。
胃気が働かないから、便秘になったり便秘になったりする。
腹痛が起こり、肝や肺に突き上がってくる。
このように五臓すべてが変調を起こすと喘鳴が起こる。
またよく驚くようになる。
あるいは喉が詰まって痛み、精も少なくなる。
以上のような症状が現われる。

右手の関上の脈を軽くあるいは深く按圧して、浮沈の位とも虚の場合は、足の太陰経と陽明経がともに虚である。
胃のなかが空っぽの感じする。
気が少ないたまに呼吸が浅く苦しくなる。
手足から冷え上がってこごえる。
下痢が止まらない。
以上のような症状が現われる。

右手の尺中、つまり新門より後の脈を深く按圧して実の場合は、足の少陰経の実である。
しびれ、身熱、心痛、背中と脇が引き合うように痛む。
足裏から煩熱が上がってくる。
などの症状が現われる。

右手の尺中、つまり神門より後の脈を軽く按圧して虚の場合は、足の少陰経の虚である。
足の脛が小さく弱い
悪寒や悪風がある。
代脈が現われて脈が拍動しないことがある。
足が冷える
上半身はのぼせて下半身には力がなくなる
そのために歩くのも不安定になる
下腹から胸脇部には突き上がってくる。
そのために胸骨弓下も痛む
以上のような症状が現われる。

右手の尺中、つまり神門以後の脈を軽くして実の場合は、足の太陰経の実である。
転胞のために小便が出ない
めまい、頭痛、下腹が張って苦しい
背中がこわばる等の症状が現われる。

右手の尺中、つまり神門の後の脈を軽く按圧して虚の場合は
足の太陽経の虚である。
肌肉がぶるぶる振るう
下肢の筋肉が引きつる
耳が聞こえない
寒気がするなどの症状が現われる。

右手の尺中、つまり神門の後の脈を軽くあるいは深く按圧して、浮沈の位とも実の場合は、足の少陰経と太陽経の実である。
癲癇、頭が重くて目のところが引きつり痛む。
じっと寝ておれない。
目が引きつる、大風。多汗等の症状が現われる。

右手の尺中、つまり神門より後の脈を軽く按圧して浮沈の位とも虚の場合は、足の少陰経と太陽経の虚である。
心痛または下痢、心腎ともに痛むなどの症状が現れる。
一説に、腎は左右にあるが膀胱は一つである。
したがって、左腎と膀胱を表裏とし、右腎と三焦を表裏と考えるよい。

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