脈経「平三関病并治宜第三」(寸口の話)

寸口の脈が浮になるのは中風のためである。
発熱、頭痛などの症状が現われる。
桂枝湯か葛根湯を服用させ、同時に風池穴や風府穴に鍼治療をする。
さらに火に向かって身体を温め、治風を身体に摩り込んで汗を出すと良い。

寸口の脈が緊の場合は、頭痛や関節がうずき疼むという症状があらわれる。
これは、傷寒である。
麻黄湯を服用させ、同時に眉衝穴に鍼治療をし、治傷寒膏を身体に摩り込んで汗を出すのが良い。

寸口の脈が微の場合は、寒のために鼻血を出すという症状が現れる。
このような時は五味子湯を服用させ、同時に茱萸膏を摩り込んで汗を出すのがよい。 

茱萸膏とは?

寸口の脈が数の場合は、胃に熱が在って。それが胸を燻じるために嘔吐する。
このような場合は吐剤を服用させて熱を抜くのがよい。
また胃管に鍼して熱を取るのもよい。
あるいは除熱湯を服用さす。
このような状態が傷寒から起こっていて、すでに7,8日から10日も経過している場合は、熱が胸の中に在って。胸が苦しくて口渇する場合があるから、このようなときは知母湯を服用さすのがよい。

寸口の脈が緩の場合は皮膚が知覚麻痺を起こす。
これは、風や寒によって皮毛、血脈、肌肉まであたりの陽気が虚したためである。
防風湯を服用さすのがよい。
同時に薬薄にて身体を温め、風膏を刷り込み、風病を治する経穴に灸っするとよい。

寸口の脈が滑の場合は陽が実になっている。
そのため胸の中がふさがって満ち、嘔吐する。
このようなときは前胡湯を服用させ、同時に太陽穴と巨闕穴に鍼して瀉すのがよい。

寸口の脈が弦の場合は心下に何かがつまったような感じになり、少し頭痛がする。
これは心下に水が停滞しているためである。
このような時は甘遂丸を服用させ、期門穴に鍼をして瀉すのがよい。

寸口の脈が弱なのは陽気の虚である。
そのために自然と汗が出て息切れする。
このような時は茯苓湯か内補散を服用させ、同時に胃管に鍼して補うのがよい。
また、飲食を注意し、極端な疲労をしない。

寸口の脈が渋の場合は胃の気が不足しているからである。
乾地黄湯を服用して胃そのものを養い、同時に飲食にも気をつける。
また足三里に鍼をして補うのがよい。

寸口の脈が芤の場合は吐血している。
少し芤の場合は鼻血が出ている。
このような出血によって芤脈となるのだ。
このようなときは竹皮湯や黄土湯を服用し、膻中に灸するのがよい。

寸口の脈が伏の場合は、胸中の気がめぐらないために、胸に何かが詰まっている感じがする。
これは胃が冷えているために気が上がって心や胸を突くためである。
前胡湯または大三建丸を服用するとよい。
同時に巨闕と上管に鍼をし、膻中には灸をするのがよい。

寸口の脈が沈の場合は、胸から脇にかけて引きつるように痛む。
これは胸に水があるためだ。
このような時は沢漆湯を服用させ、同時に巨闕に鍼をして瀉すのがよい。

寸口の脈が濡の場合は、陽気が弱っているから、じとじとと汗が出てくる。
これは、虚損による病であり、このような場合は乾地黄湯、薯蕷丸、内補散、牡蠣散粉などの薬を服用させ、同時に大衝に鍼して補うのがよい。

寸口の脈が遅の場合は上焦に寒がある。
心痛、咽頭痛、酸っぱい胃液を吐くなどの症状が現れる。
このような場合は附子湯、生姜湯、茱萸湯などを服用するとともに、飲食を調和して上焦を温めるとよい。

寸口の脈が実の場合は、熱が発生していて、これが脾と肺にある。
嘔逆、気が塞がるなどの症状が現われる。
寸口の脈が虚の場合は、寒が発生していて、これが脾と胃にある。
食べたものが消化しないという症状が現われる。
熱があれば竹葉湯や葛根湯を服用するのがよい。
寒があれば茱萸丸や生姜湯を服用するのがよい。

寸口の脈が細の場合は発熱して嘔吐するという症状が現われる。
このような場合は黄芩竜胆湯を服用さすのがよい。
もし、嘔吐が止まらない場合は橘皮桔梗湯を服用させ、中府に灸するがよい。

寸口の脈が洪・大の場合は、胸脇が満ちて苦しいという症状が現われる。
このような場合は、生姜湯や白薇丸などを服用さす。
また紫菀湯で下すのもよい。
鍼治療は上脘、期門、章門の各経穴におこなうとよい。

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