素問「調経論篇」

鍼の刺し方として、病が有余あれば瀉法
不足であれば補法
ですが、神・気・血・形・志に有余と不足がある(合計10種)

人には、精、津、液、四肢、九竅、五臓、十六部、三百六十五節あり、各種の疾病がおこる。
それぞれ、虚実の違いがあり五臓に生じる虚実合わせて10種あるという
診断治療は経脈をそのよりどころにする。

神(心)
有余だと大いに笑う
・・・治療は小絡を刺して出血させる(注意として深く刺しすぎたり、大きな経脈を刺傷してはいけない)

不足すると悲しむ
・・・治療としては虚絡を選んでまず按摩、その後刺絡をおこなうが出血させてはいけない

血気に併合していない場合はぞくぞくして肌表の豪毛をおこすが、経絡には侵入していない、これを微邪による神病と呼ぶ
・・・治療としてはよく按摩し、刺鍼するときは大きな鍼孔をあけないように注意

気(肺)
有余だと咳嗽して気は上逆
・・・治療としては経を瀉す、ただし傷つけたり出血させたり、気を泄らしたりしてはいけない

不足していれば少気
・・・治療としては補ってやればよい、しかし泄らしてはいけない

皮膚がわずかに病むだけなのは肺気微虚(白気微泄)
・・・治療としてはよく按摩するとともに、腠理から外に邪を泄らせばよいのです

血(肝)
有余だと怒り
・・・治療としては盛んな経脈を瀉して、出血させる。

不足していれば恐がる
・・・治療としては血の不足している経を選んで置鍼すればよい、しかし病人の脈が洪大になればただちに抜鍼して、血を泄らしてはいけない

邪は孫絡において盛んになり、溢れると経脈に出、留血減少があらわれる
・・・治療は留血している絡脈を選び、刺して出血させる

形(脾)
有余だと腹が張り、小便が不利
・・・治療として陽明胃経の気を瀉す

不足していれば、手足がうまく使えない
・・・治療としては陽明胃経の絡脈を補う

邪気が血気と併合しておらず、肌肉が少し蠕動するように感じるものを微風
・・・治療は分肉の間を刺してその蛇を散らせばよい、ただしその絡脈を傷つけてはいけない

志(腎)
有余だと腹が張って下痢
・・・治療としては然谷を瀉して出血させ

不足していれば手足厥冷
・・・治療としては復溜に補法

邪気が血気と併合しておらず、五臓が安定している場合、ただ骨間に震動感が生じます
・・・治療としては骨節間の震動を感じるところに刺せばよい

虚実が生じる原因は邪気が気血と併合して陰陽のバランスが崩れるからである

血と気とはともに温暖を好み寒冷をきらう(寒いと流れは悪くなる)

虚実を形成する要因として
陽から異常が起こる場合は、外邪(風雨寒暑)の侵入を受け、陰から生じる場合は、不規則な起居生活、過度の房事、異常な喜怒によって病が生じる

風雨が人を傷る場合は、まず皮膚に侵入し、そこから孫絡へ入る
孫絡が満ちるとつぎの絡脈に入り、それが満ちると経脈に伝わる、血気と邪気とが一緒になって分肉の間に停滞すると、その脈象は堅・大を示す。これを実証といい、按ずると痛む
寒湿が人を傷ると、皮膚の収縮能力はなくなり、肌肉はかえって堅くひきしまり、そのため栄血の流れは滞ってスムーズに流れず、衛気は散失してしまいます。これを虚証といい、これを按じると気は充足され温かに感じられ気持ちがいいのです。

喜怒に節度がないと陰が上に上がり陽が下に集まります。これを陰分におこる実証
喜楽が余りすぎると、気を下陥させ、悲哀が余りすぎると気を消散させ、気が消散すると血脈は空虚となり、このときに冷たいものを口にすると寒気は中に充満となり、血が滞り、気を消耗させる
このような状態を陰分におこる虚証といっている。


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