霊枢「脹論篇」

「脈気の反応は手首の寸口にあらわれる、どのような脈象で脹病というか?」
・脈が大きくて硬くて滞りがちなもの

「どのようにして臓と府の脹を鑑別するのか?」
・病が陰か陽のいずれの場合に見分ける

「気の運行が伸びやかではないと、脹病を生じさせるが、その病むところは血脈の中か臓府の内にあるのか?」
・血脈・臓・府と関係あるが病むところではない

「脹病の発生部位」
・臓府の外にあって、内に向かって蔵府を圧迫、外は胸脇に充満し、皮膚を膨張させるので、脹病という

「五臓六腑が胸腔と腹腔にあるが、機能が違うのはなぜ?」
・胸腹は五臓六腑の外郭で、胸中は君主である心がある、胃は飲食を収める倉庫のようなもの、咽喉から小腸までは、飲食物を伝送する経路、廉泉から玉英までが体液の流れる通路、発病した後もそれぞれ異なる症状があります。
・営気は本来、脈中を循環してますが、衛気が脈中を逆行すれば脹病になる、もし衛気が分肉の境目に行けば、皮膚の脹になります・・・治療は足三里に瀉法、症状が近くて軽いときは1回の治療でよく、遠くて重い場合は3回治療する。
・虚実を考えず、瀉法を用いることが大事

「脹病の症状」
・心脹は煩悶して乱れ、呼吸切迫、眠れない
・肺脹は胸中の気が脹って虚満し、喘ぎ咳き込む
・肝脹は脇の下が脹満し、疼痛が下腹部まで伝わる
・脾脹はしゃっくり、四肢がむくんで怠く、身体は重くて衣服にも堪えられず、ぐっすり眠れない
・腎脹は腹部が脹り、心下部が痛み、鼻中に焦げ臭さを感じ、飲食を妨げ便秘になる
・大腸脹は腸が鳴って痛み、冬に寒邪に中ると下痢を起し、消化不良をおこす
・小腸脹は下腹部が張り、腰にかけて痛む
・膀胱脹は下腹部が脹満して気が詰まり、小便が出にくい
・三焦脹は、気が皮膚の間に充満して、手で押してみるとブヨブヨして充実していない
・胆脹は脇の下が脹って痛み、口中に苦味を感じ、いつもため息をつく

治療は虚実をわきまえ補瀉する。

「脹満のおきる原因」
・陰陽の調和を失うと、病の気は下部にあって、営衛の気を導いて足止めし、これに寒気の上逆が加わると、真気と邪気がせめぎあい、相互に戦いあって脹病となる

「疑わしい場合の問題解決」
・人体の真気を結びつけ、血脈・臓・府の三者に反映されている症状を互いに対照すれば、知ることができます。

「3回治療しても脹病がひかない場合はどうしてか?」
・分肉の間に刺して気穴に当たらなければならない。
・分肉の境目の隙間に入らなければ、経気はめぐらない。
・刺すのが浅すぎた場合、病気を上に浮かせてしまい衛気の活動を乱してしまい、陰陽の気が争うようになる。
・3回刺しても病気が排泄されないとき、刺す部位を変更する必要がある。
・それでも病気が排泄されなければ、初めから刺鍼をやり直さなければならない。
そうすれば必ず治癒する

虚実をわきまえ補瀉をするのが大切である。

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