霊枢「順気一日分為四時篇」
「様々な疾病が発生するときは、燥湿寒暑風雨などの外邪の侵犯か、房事や喜怒の不安定、不規則な飲食や起居の乱れなどが起因する。
邪気が侵犯して後、正気と闘うと様々な症状があらわれ、邪気が蔵に入ればそれぞれ決まった病名がある。
多くの病人は、大抵の場合、早朝には病状が軽くなって意識さえ、昼間は割合と安静であるが、夕方には症状が次第に重くなり、夜には症状が最も激しくなる。
これは、どういうわけか?」
・それは、四季の気候と相違と変化に由来しているのです。
「四季の気について」
・春は陽気を発生
・夏は陽気が隆盛となり
・秋は陽気が収斂し
・冬は陽気が閉蔵する
人体の陽気の変化もこれに準じます。
・早朝は春のよう
・正午は夏のよう
・夕方は秋のよう
・夜半は冬のよう
人体は早朝に陽気が発生し、邪気が衰退するので、病人の意識は冴えます。
正午には人の陽気は隆盛になり、邪気に勝ちますので病人は割合安静です
夕方に人の陽気は収斂し始め、邪気が次第に強くなるので病状は重くなります。
夜半に人の陽気は内に閉蔵し、ただ邪気のみが身体を支配するので病は極めて重くなります。
「一日の病気の軽重変化が先に述べたようにならない時がある、それはなぜ?」
・病気の変化が四時の気と相応せず、蔵が単独で疾病の発生に対して決定的に影響していることによるものです。
このような疾病は、必ず病んでいる蔵が時日に剋されるときは酷くなり、剋服できると病は軽くなる
「どのように治療をすすめるのか?」
・時日と病んでいる蔵の五行の関係に基づいて補瀉を施し、病んでいる蔵が時日に剋されることが過度にならないようにすれば、疾病が治まることが予想できます。
「刺法には井・榮・兪・経・合の五輸穴で決定することがあるが、その規則は?」
・五臓にはそれぞれに応じる
色・時・日・音・味の五種の変化があり、その変化ごとに井・榮・兪・経・合の五種の輸穴があってそれぞれに対応している
五✕五で25あり、さらに五季と相応している
「何を五変というのか?」
・肝は木、陰中の陽なので牡蔵、色は青、時は春、日は甲乙、音は角、味は酸味
・心は火、陽中の太陽なので牡蔵、色は赤、時は夏、日は丙丁、音は徴、味は苦味
・脾は土、陰中の至陰なので牝蔵、色は黄、時は長夏、日は戊己、音は宮、味は甘味
・肺は金、陽中の少陰なので牝蔵、色は白、時は秋、日は庚辛、音は商、味は辛味
・腎は水、陰中の太陰なので牝蔵、色は黒、時は黒、日は壬癸、音は羽、味は鹹味
以上が五変である。
「五変が五輸穴を主るとは?」
・五臓は冬を主り、冬には井穴を刺します(病が蔵にある場合)
・五色は春を主り、春には榮穴を刺します(病が色にある場合)
・五時は夏を主り、夏には輸穴を刺します(病が緩解したり、悪化したりする場合)
・五音は長夏を主り、長夏は経穴を刺します(病が音にある場合)
・五味は秋を主り、秋には合穴を刺します(病が胃にあり、飲食の不摂生で病気なった場合)
「六腑の原穴は、どのように配合して六輸とするのか?」
・原穴だけは五時に配当されていませんでした。
原穴を経穴に配属して、五時六輸の数に対応させるのです。
ですから6×6=36個の輸穴なのです。
「蔵は冬、時は夏、音は長夏、味は秋、色は春を主るとは何を言うのか?」
・病が蔵にあるものは、邪気が深く侵入しているので、井穴を刺すべきである
・疾病の変化が顔色に現れているものは、榮穴を刺すべきである
・病状が軽くなったり、重くなったりするものは、輸穴を刺すべきである
・疾病の影響が声に現れているものは、経穴を刺すべきである
・経脈が満ちて瘀血があるもの、病が陽明胃経にあるもの、飲食の不節制による疾病は合穴を刺すべきである