霊枢「論勇篇」
四季によって風の性質は違っている
温風・熱風・涼風・寒風(春夏秋冬)
・色が黄色く皮膚が薄く、肌肉が柔弱な人は脾気が不足しており、春の風に耐えられない
・色が白く皮膚が薄く、肌肉が柔弱な人は肺気が不足しており、夏の風に耐えられない
・色が青く皮膚が薄く、肌肉が柔弱な人は肝気が不足しており、秋の風に耐えられない
・色が赤く皮膚が薄く、肌肉が柔弱な人は心気が不足しており、冬の風に耐えられない
・色が黒く皮膚が厚く、肌肉がしまっていて堅い人は、四季の虚邪賊風に損なわれることはない
しかし、内に生ものや冷たいものを食べて傷つき、内外とも損なわれると病は発症する
もし、色が黒く皮膚が薄く、肌肉が柔弱な人は脾気が不足しており長夏の風に耐えられない
「痛みに我慢できるかは、勇敢か臆病かで判断できない、それはなぜか?」
・痛みに耐えられるかどうかは、主に皮膚の厚さ、肌肉の堅さ、脆さ、緩さのちがいによっておこる
・勇敢か臆病かは性格で説明できるものではない
「勇敢であるか。臆病であるかの性格の違いが生じる理由は?」
・勇敢な人・・・眼光が奥深く、凝視して動かず、眉毛は広大で長く真っ直ぐ、皮膚腠理のキメは横縞、心臓は端正、肝臓は堅く厚く、胆汁は充満
怒りを発する時は、気が旺盛になって胸部が大きく張り出し、肝葉は上にあがり胆は横になり、眼を大きく見はり、眼光は鋭く迫り、毛髪は立ち上がり、顔色は青白くなる
・臆病な人・・・眼は大きいが奥深さがない、皮膚腠理のキメは縦縞、胸骨の突き出た状態は短小、肝臓は薄く柔らか、胆汁は充満せず、胆嚢は緩く、胃腸は強健ではなく、湾曲が少なく真っ直ぐで、脇下の気が空虚で、肝気が充満できない
激怒するにも、怒気を胸中に充満できず、肝肺の気が怒りによって上に挙がっても持久力がなく、怒気はすぐに消えてしまう。
「臆病な人がお酒を飲んで、怒りだしたとき、勇敢な人とほとんど変わりがないようにふるまう理由は?」
・酒は水穀の精華で、穀類が発酵し、醸造してできた液体
その気は、迅速で激しく、酒が胃に入ると、胃をふくらまし、気が逆上し、胸に充満し、肝気を興奮させ、胆気を旺盛にさせます。酒に酔っ払うと、その言動は勇敢な人をほとんど変わりがなくなります。
しかし、酒気がさめてしまうと、臆病な態度が元通りにもどり、かえってそのようなおこないをしたことを後悔します。