霊枢「五味論篇」

「飲食の五味が消化器官に入ると、一味ごとに臓腑に対して有利、不利がはたらく
・酸は筋にいくが、多食すると小便普通を引き起こし
・塩辛みは血にいくが、多食すると口渇を引き起こし
・辛味は気にいくが、多食すると心内の空虚感を引き起こし
・苦味は骨にいくが、多食すると嘔吐させる
・甘みは肉にいくが、多食すると煩悶させる
どうしてそうなるのか?」

・酸味は収斂作用をもち上焦と中焦へいく、胃内が温和であれば長く留まることが出来ず膀胱へ注ぎます。膀胱の皮は薄くて軟らかいので酸味に遇うと収縮し、膀胱の出口の部分もそのために締め付けられ水液の通行に影響を及ぼし、小便が通じなくなります。
前陰は陰茎内の筋が集まるところであり、筋をつかさどるのは肝になります

・塩辛みはよく血分へゆき、その気味は中焦へゆき、血脈に注ぎ血と結合します。
結合すると血は濃くなり、胃内の津液が絶えず注いで補充し調和しなければならなくなり、その結果、胃内の津液が不足し、のどの津液も足りなくなり口渇を覚えるのです。

・辛味は上焦にゆき、上焦の機能は中焦の気を受けて、それを腠理に運行し、外部を防衛する作用を発揮させるものであります。たとえば生姜・ニラは常に上焦を薫蒸し営衛の気はしばしばその影響を受け、その気が長く胃中にとどまるので、心内が空虚な感覚を起こさせるのです
辛味が胃に入ると腠理を開いて汗と一緒に出ます。

・苦味は五穀の気のすべてに勝ち、苦味が下脘に侵入すると、三焦が通ぜず、胃に入った水穀がうまく消化・吸収・輸送できず、機能に異常をきたし、胃の気が逆上して変化すて嘔吐するのです。

・甘味の気は柔和ですので、上って上焦へ到達することが出来ず、飲食物とともに胃中にとどまります。胃の気も柔潤なので、胃が柔弱ですと、胃の機能が減弱し、胃の機能が減弱すると腸中の寄生虫が機に乗じて活動し、虫が活動しだすと悶えさせ心を乱す

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