霊枢「邪客篇」

「邪気が入ると眠れなくなるときがあるがなぜか?」
・飲食物が胃に入るり、消化され、糟粕と津液と宗気は別れます。
・宗気は胸にに積聚し呼吸を行う
・営気は津液を分泌し、脈中に注ぎ変化して血液になり、身体の外部では四肢を栄養し、内部は五臓六腑に注ぐ
・衛気は水穀が変化した悍気であり、その流動は猛烈で迅速、最初に四肢の文肉と皮膚の間を循行し、運行して止まないもので、昼間は体表部を、夜は深部に入り常に少陰腎経を起点として五臓六腑を循行する
もし邪気が五臓六腑を犯せば、衛気は陽分をめぐることはできるが陰分に入ることはできない
衛気が陽分だけを循ることになるので、体表の陽気だけは盛んになり、陽橋脈の気が満ち、衛気が陰分に入れなくなり陰虚になるから、目を閉じても眠れなくなる

「どのような治療をすればいいのか?」
・陰分を補い、陽分の有余を瀉して陰陽虚実を整え、半夏湯一剤を与え、陰陽の経気を疎通させて調えれば、たちどころに安眠できる

「人の四肢百節は、自然とどのように相応しているのか?」
・天は円形、地は四角=人の頭は円く、足は方形
・天には日月、人には両目
・大地には九州、人には九竅
・天には風雨、人には喜怒
・天には雷電、人には音声
・天には四季、人には四肢
・天には五音、人には五臓
・天には六律、人には六腑
・天には冬夏、人には寒熱
・天には十干、人には十本の手指
・地には十二支、人には十本の足指と陰茎と睾丸がある、女子は懐胎することができる
・天には陰陽の交わりがあり、人には夫妻の配偶がある
・1年は365日、人には365の関節がある
・地には高山があり、人には肩と膝がある
・地には深谷、人には腋窩と膝窩
・地上には12の大河川、人体には12の経絡
・地下には泉脈が流通、人体には衛気
・地上には草が生え、人には豪毛がある
・天には昼夜、人には起臥
・天上には列星、人の口には牙歯
・地上には小山、人体には小関節
・地には山岩、人には顎、肩、膝、くるぶし
・地上には森林、人体内部には筋膜が密になっている
・地上には集落、人体では肌肉の隆起
・1年は12月で、人の四肢には十二の大関節がある
・大地には四季を通して草が生えないところがある、人にも生涯子供を産まないものがいる

「用鍼の技法、刺鍼の原理、補瀉迎随の意味、及び皮膚を引き伸ばして腠理を開かせる刺法はどのようなものか?
また、五臓の経脈には屈折するところと経気が運行し出入りするところがある。流注において、どこで出、どこで止まり、どこで緩やかになり、どこで速くなり、どこで入るのか?またどのように六腑の輸穴に流注し全身に至るのか?これらすべてを聞きたい
さらに、経脈が支別が離合するところで、陽経はどのように別れ出て陰経に入るのか?陰経はどのように別れ出て陽経に入るのか?その間において、どの通路を経過して疎通するのか?その道理を聞きたい」
・手の太陰肺経は、手の親指の先端から出て、内側へ屈折し、内側の白肉際に沿って、太淵穴に至り、経気はここに流注し寸口の動脈になる、そこから外側へ屈折し、上行して本節の下へ行き、さらに内側へ屈折していき、魚際部にある陰絡と会合します、陰経の脈はみなここに注ぎますので、魚際部の脈気は滑利である。
さらに親指の後ろに隆起する、よう骨の下に伏行し、そこから再び屈折して外側ヘ向かい、寸口部で浮上して上行し、肘の内側に到達し、大筋の下の尺沢に侵入し、また内に屈折して上行し、どう部の内側を通って腋下に入り、内側へ屈折して肺に入ります

・手の厥陰心包経は、中指の先端から出て、内へ屈曲し、中指の内側に沿って上行し、掌中へ流れ、両骨の間を伏行し、また外へ屈折していき、両筋の間に出ていき、上って肘の内側に至り、小筋の下に進入し、両骨の会合するところに流注し、さらに上腕に沿って上行して胸中に入り、内部で心脈を絡います

「手の少陰心経には輸穴がないのはなぜ?」
・五臓六腑の主宰者である心だからです。
また、精神を宿す中枢であり、その器質は堅固であり、邪気の侵入は許しません。
もし、邪気が侵入すれば心臓を損傷し、神気が損耗散逸して、人は死んでしまいます。
それゆえ、各種の病邪が心臓を侵犯したとしても、みな心の包絡上にある
包絡は心に変わって邪を受けますので、心主の脈の輸穴をとって心病を治療することができます
それ故、少陰心経には輸穴がないのです

「少陰心経に輸穴がないが、心が病気にならないわけでもあるまい」
・外部にある少陰心経は病みますが、内部の心臓は病みません。
ですから、心臓にあたっては、ただ手の少陰心経の神門をとればいい
出入りや屈折など先に説明した太陰肺経と同じで、それゆえ病気が心経にあれば少陰経の神門をとって輸穴とし、邪が心包に入れば心主本経の輸穴を取り、経気の虚実と緩急に基づいて、それぞれ調え、邪気が盛んなときは瀉法を用い、生気が虚していれば補法を用いる

「持鍼縦舎はどのようなもの?」
・最初に十二経脈の起止を明らかにし、皮膚の寒熱、脈象の盛衰・滑薔を診察しなければいけない
そうして、刺鍼の用いるべきものと用いてはならないものが決まります。
たとえば、脈が滑で力があるものは病気が日増しに進行している兆候で、脈が細く力がないのは慢性病で気が虚しています。
脈が大で薔であれば、痛み痺れの兆候です。
表裏とも傷れ、気血がみな敗れていれば、その病気は治療困難です。
一般に胸腹と四肢がまだ発熱している場合は病邪がまだ排除されていおらず、熱勢が衰退すれば病気は治癒します。
要するに、尺膚を診断して患者の肌肉が堅実であるか脆弱であるか、脈象の大小・滑薔・皮膚の寒温、乾燥しているか湿潤であるかを観察する。
併せて、両目の五色を観察して、五臓の病変を見分け、予後を判断します。
血絡を観察し、外部の色沢を参照し、寒熱痛痺などの証を診断する

「持鍼縦舎の手法に関して、まだよくわからない」
・鍼を運用するときの道理は態度を端正にし、こころ安静にしなければいけない
病証の虚実を把握し、緩急のによる補瀉の手技を行い、左手で骨格の位置を把握し、右手で穴位を探り鍼を刺入します。
ただし、力任せに刺入して、鍼が肉に包まれてしまうことは避けなければいけない
瀉法は必ず垂直に鍼を下し、補法は抜鍼の際には鍼孔を閉じて、行鍼を補助する手法を用いて、正気を導き、邪気を消散させ、真気が内を守るようにしなければなりません。

「皮膚を引き伸ばし、腠理を開く刺法はどのように行うのか?」
・手で分肉の穴位を抑え、穴位に当たる皮膚上に鍼をします。
ただし、力は軽微にしてゆっくりと垂直に鍼を進めます。
この皮を刺して肉を傷らない刺法は、神気を散乱させず、腠理を開かせることができ、病邪を除去することができます。

「人身には八虚があるが、どの疾病を診断するのか?」
・五臓の病変を診断します。

「どのように診断するの?」
・肺と心に邪気があると経脈の流注に従って左右の肘に至る。
・肝に邪があると経脈に従って両腋窩に至る
・腎に邪気があると経脈の流注に従って左右の両膝窩部に至る
・脾に邪気があると経脈の流注に従って左右の両股部に至る
・肺と心に邪気があると経脈の流注に従って左右の肘に至る

左右の肘、腋、股、膝窩の部位を八虚と呼ぶ

これらは四肢の関節が屈伸する中心であり、真気と血絡が通行し会合する要所である

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